交換

市場どんな経済主体(個人・企業・政府)でもトレードオフに直面し、選択をする際にはインセンティブに反応する、ということはすでに説明しました。

ほとんどの人々の生活は経済的に無数の他者の生活に関係しています。たとえば、アメリカに住んで現地で税金を納め、中国産の野菜を食べ、イタリア製の靴を履き、日本製の自動車に乗る、といった具合に私たちは世界規模でつながっているといえます。

地球全体で考えても資源は稀少です。その稀少な資源がどのように用いられるのか、どういった仕組みでその決定がなされているのかを、交換という言葉で説明することができます。市場における自発的な交換が資源の分配比率を決定していきます。

通貨が流通する以前の昔、海辺の村では自分たちが食べるより少し多く魚を獲り、山村の人々の持つ肉や毛皮と交換していました。海辺の村の人々にとっては手放した魚よりも肉や毛皮の方が高い価値を持っており、山村の人々は手放した毛皮や肉より魚の方が有益だとみなしたわけです。このように、人々は自発的な財の交換によって便益を得ることができることを昔から知っていました。

現代社会では、完全な自給自足で生活している人(すべてを自分で生産している人)はほとんどいないと思います。無数の財の交換が行われていて、それぞれがお互いに便益を得ています。たとえば私は会社に自らの労働力を売り、それによって得た所得と財(他者により生み出された生産物)を交換します。ふたりの個人だろうが、個人と企業だろうが、異国間の取引であろうが、自発的に交換を行った両者はともに利益を得ることができます。

経済学では、交換が起きる状況を全て市場(しじょう)とみなします。

製造業者は原材料を貨幣と交換する形で購入し、生産された財は卸売業者へ売られ、卸売業者から小売店へ、そして小売店から消費者へと販売されます。このような取引はすべて市場および市場経済という概念で包括的にとらえられます。

市場経済では、財・サービスの交換は価格に基づいて行われます。希少性が高い、あるいは生産に多くの資源を投入した財・サービスは価格が高くなります。たとえば英会話教室の月謝よりも弁護士への報酬の方が高く、液晶テレビは鉛筆より高価です。市場において、経済主体は希少性を反映した選択を行い、その結果、資源は効率的に利用されていきます。

価格に基づいて財の交換が行われる”市場”に着目することで、どのように資源が分配され、何が生産されて、誰が何を得ているのかを分析することができます。

参考文献-入門経済学第3版

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